日本家屋の屋根を瓦で覆うことを「瓦葺き」と言い、そのような仕事を行うスペシャリストが「瓦葺き職人」です。
瓦葺き職人の仕事は需要が高く、安定していますので長期で活躍できます。また、技術があれば独立して仕事を継続することも可能です。
ここでは、瓦葺き職人の仕事内容や魅力のほか、独り立ちするまでの流れなどを詳しくご紹介します。
瓦葺き職人の仕事
伝統的な日本の瓦は、成型した粘土から一枚ずつ焼き上げて作られているため、個々の形状に若干のばらつきがあります。また、瓦を葺く屋根の形状も家屋によって異なりますので、それらを計算して施工するには、熟練の技術と経験が求められます。
そのような理由から、一人前の瓦葺き職人になるには最低でも10年はかかると言われています。ただ、その間に様々な現場に立ち会える楽しさがあったり、技術の習得による成長を感じられたりする仕事であることも事実です。
本人の努力次第にはなりますが、歴史的な日本建築物の施工に携われることも瓦葺き職人の魅力と言えます。
入社後の流れ
社内研修のスタート!
入社後、まずは瓦葺き職人の見習いとして社内で研修を受けていただきます。
瓦の葺き方はもちろん、屋根の形状や材料、瓦割り(割付の計算方法)などをお教えします。また、先輩職人に同行し、仕事の全体的な流れも学んでいただきます。
瓦の葺き方はもちろん、屋根の形状や材料、瓦割り(割付の計算方法)などをお教えします。また、先輩職人に同行し、仕事の全体的な流れも学んでいただきます。
現場へ
1ヶ月くらいで仕事の基礎を学んだ後は、先輩の職人に同行して現場の仕事をはじめていただきます。最初は分からないことばかりで戸惑いも多いと思いますが、経験豊富な先輩が丁寧に指導しますのでご安心ください。
ルーフィング施工を担当
現場に出て半年くらいでルーフィング施工の技術が身につきます。
ルーフィングとは屋根材の下に敷く防水シートのことで、下葺き材とも呼ばれます。
ルーフィングとは屋根材の下に敷く防水シートのことで、下葺き材とも呼ばれます。
屋根材だけでは雨水を完全に防げませんので、このようなシートを貼ることで防水性を確保できます。
割付作業を担当
現場に出て1年くらいすると「割付」ができるようになります。
割付とは、瓦の大きさと瓦が収まる屋根の大きさを計算し、瓦の取り付け位置を正確に決める作業のことです。その精度が低いと、瓦がずれやすくなったり、雨漏りの原因になったりしますので、瓦葺き工事の中でも重要な工程と言えます。
独り立ち
割付ができるようになれば、大半の仕事を自分の判断で進められるようになります。
現場に出て2年を目安に社内試験を受けていただき、それに合格すれば見習い期間は終了です。瓦葺き職人として、活躍のフィールドがさらに広がっていきます。
現場に出て2年を目安に社内試験を受けていただき、それに合格すれば見習い期間は終了です。瓦葺き職人として、活躍のフィールドがさらに広がっていきます。
瓦に関わる3つの資格
かわらぶき技能士
瓦葺きに必要な知識と、伝統的な施工技術の習得を証明する国家資格です。学科試験と実技試験があり、1級~3級の等級があります。
以前は1級と2級だけでしたが、新たに追加された3級に合格することで、現在は2年以上の実務経験がなくても2級の受験資格が得られるようになっています。
瓦屋根工事技士
瓦の構法や設計、施工、品質管理、法規など、瓦屋根工事に関する適正な知識と技能の習得を証明する資格です。
この資格は一般社団法人全日本瓦工事業連盟が認定しており、試験が年1回行われています。
試験内容は学科のみですが、受験資格として瓦屋根工事の実務経験が3年以上必要です。
試験内容は学科のみですが、受験資格として瓦屋根工事の実務経験が3年以上必要です。
瓦屋根診断技士
瓦屋根に関する適正な診断能力があることを証明する資格です。
この資格を取得するには、瓦屋根工事技士とかわらぶき技能士(2級以上)の両資格の合格に加え、全瓦連の会員である必要があります。
半日程度の講習会に参加することで、この資格の認定を受けることができます。